ウィーンフィル

秋が深まって参りました。
街路樹が黄色や赤に美しく、空気がピンと張りつめるような感じがしますが、いかがお過ごしでしょうか。

さて今回は、私にとって素晴らしい体験のひとつ、ウィーンフィルの演奏会について記します。
ウィーンといえば音楽の都とも称されるオーストリアの首都ですが、こちらのオーケストラが来日し、大阪のフェスティバルホールでの演奏に心を満タンにしていただきました。
ウィーンフィルは180年前に結成された世界最高峰のオーケストラのひとつで、お正月に日本でもニューイヤーコンサートが放映されるのが、このウィーンフィルなのです。
オーストリアはヨーロッパの中央に位置し、この国はなんと8つの国々と国境を持ち、国の面積は北海道と同等くらいで、人口860万人の規模の国です。
私自身は音楽に永く関わってきたのにウィーンに一度も行ったことがなく、この素晴らしいであろうウィーンをほとんど知りません。
現地で演奏を聴くとなればとても素敵だろうとは思うのですが、渡航費も時間もかかるため、今回はチケット代が高額であってもぜひ聴きたいと思い、直近でチケットを購入しました。そして、幸運にもバルコニー席に空きがあり、目の前のお客様の頭を見ることなく、ゆったりと観賞できました。

この公演では、そのウィーンフィルとランラン(中国人ピアニスト)の共演。
パンダの名前ではなく(笑)、素晴らしいピアノを奏でる男性ピアニストなんです。
私はずい分若いランランの演奏をテレビで見たことがあるのですけれど、この人の生演奏は初めてでした。これほど綺麗なpp(ピアニッシモ とても小さく)を弾きながら、音楽の流れが止まらず、常に美しくピアノの楽器を自分の音で表現するランランの演奏にうっとりしました。サン・サーンスのピアノコンチェルト2番は、速いパッセージもありテクニックが必要ですが、脱力が上手でまるで魔法のように的確に鍵盤を捉え、美しい音階にしていくのです。コンチェルト(協奏曲)はその奏者である主役(この場合ピアニスト)が音楽を主導するものなのですが、ランランとウィーンフィルは見事にその形になっていました。こんなに感動したピアノというのは初めてかもしれません。

休憩をはさみ、後半はドボルザークのシンフォニー(交響曲)8番をオーケストラが演奏しました。すごい技術と表現力が随所に散りばめられ、圧倒されっぱなしでした。
一人一人の演奏技術が完璧で、それを纏める指揮者の音楽の創りかたが秀でているので、何もかもが上質な魅せる音楽を満喫した時間でした。
こういう上質な雲の上にいるような感覚には滅多になれないものですが、ホールにいる聴衆全員が惜しみない大きな拍手でウィーンフィルを讃えました。
拍手の連続で熱狂的なエネルギーとなり、奏者と聴衆が一体となったのです。
なかなか巡り合わない、縁起もののご縁をいただけたように思います。
皆さまも秋の深まりと共に、素晴らしい体験に巡り合えますように願っています。

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